■将来の中小商業【生活集積街へ】
2-27.計画的に造られた商店街『ライフスタイルセンター』《日本型LC》
➀ー3 米国におけるライフスタイルセンターおよびその機能の活用
~商店街の衰退が地域コミュニティの崩壊へ
60年代の流通業界は大手ナショナルチェーン店が都市中心部に出店し、地元商店街との競合が激化した時期であったが、中心部への集客は高まり、商店街の隆盛期でもありました。73年に大店法が制定され、中小商業の保護的な政策が続く中で、70年代後半以降、モータリゼーションとも相まって郊外幹線道路沿いに大型商業施設が進出し、都市中心部の機能低下が始まりました。
また役所等の公共施設や病院、学校なども郊外へ移転し、更に中心部に出店していた大型店も経営効率の悪化でスクラップし郊外へ進出するという事態から、中心市街地の空洞化が本格化してきました。
地域住民の「買物の場」「生活の場」として地域に貢献してきた商店街は、厳しい環境の中で消費者ニーズを充分に捉えることができなくなり、いわば「消費者からの疎外」であり、自らの商売自体が跡を継ぐ者にとって魅力のないものとなっているという「後継者からの疎外」、商店街は消費者に快適な生活空間を充分に提供しているか、商店街が地域住民にとって魅力あるものか、郊外の家から店へ通う商業者に住民の気持ちがわかるのか等々「地域からの疎外」、これら3つの疎外状況に陥っています。
空き店舗の増加や居住人口の減少による中心市街地の空洞化は、各種の活動を通じての町内会的な地域社会の維持を困難なものとしてきました。地域社会が持っていた自発的な協力、支援機能が低下し、共同体に対する一体感は喪失し、更に高齢化が進む中で高齢者の地域社会での自立を困難なものにしています。
経営効率優先の名の下に戦後の日本が歩んできた道は、地域社会の多くのものの破壊の歴史でありました。こうした反省から中心市街地のまちづくりは、地域構造の変化やその影響により、たえず盛衰を繰り返すというまちづくりではなく、地域社会が独自のアイデンティティを持ち、将来にわたって持続可能なコミュニティづくりを目指していくことが求められています。
最新のSC業態であるライフスタイルセンターは、こうしたまちづくりや商店街の課題に対して解決策の糸口を見出すことができます。ライフスタイルセンターは古き良き時代の地域社会や商店街に酷似しているのかもしれません。